『夜からの声』劇評掲載

雑誌「演劇界」(演劇出版社)12月号に『夜からの声』の劇評が掲載されています。

 地人会は山田太一作、木村光一演出の『夜からの声』を新宿紀伊國屋ホールで上演した。自殺志願者や悩みを抱える人を対象にした「話相手コール」のボランティアをしているサラリーマンの男(風間杜夫)の家に、タウン誌の取材と称して女(倉野章子)が訪ねてくる。(以下あらすじ紹介略)
 山田作品の常で、本音を話しながら生きる日常生活も一皮むけば、問題だらけだが、深刻にならず、互いの思いや関係の微妙なズレからおかしみが湧き上がってくる。倉野が疑心暗鬼から精神に変調をきたし、最後には立ち直っていく女をきめ細かく演じた。風間も右往左往する小市民的な男を無理なく造形していた。(林尚之)